みなさん、お元気ですか。
3年たってもまだコロナは収まりません。
お灸をして元気を維持しましょうね。
さて、前々回、前回と「もぐさ」を用いた「おきゅう」によって、からだの中にさまざまな変化が起こって、免疫力・抵抗力を高めるシステムがいくつも同時にはたらき、バリアーのように私たちのからだを強く、丈夫にしてくれていることを紹介しました。
今回は、「おきゅう」がもっとも得意な!「痛みの改善」について、お話しします。
題して「おきゅうのチカラ!② 痛み編」です。
今回も生理学(からだのしくみの学問)の話が続きますが、できるだけわかりやすく説明しますね。
「おきゅう」による熱刺激が全身を変化させる「炎症」を引き起こし、「免疫」のトレーニングをしていることは前回、お話ししました。
実は、この人為的(わざと行っている)な「神経性炎症」のメリットは、「免疫」強化の他にもあるんです!
それは、「血管の拡張(かくちょう)」です。
ケガをしても虫刺に刺されても、ひっかき傷をつくっても共通しているのは、皮膚が赤くなることですよね。
照れているときも、顔や耳が赤くなります。あのとき、みなさんの顔や耳は熱くなりませんか?
あの、赤くなったり、熱くなったりしているのは何者だと思いますか?
実は、あれは「血」なんですよ。
そう、からだの中の、あの赤い液体です。
「炎症」はとても複雑な仕組みでその場所の血管を太く広げるのです。
つまり、「炎症」によって、皮膚が赤くなるのは、薄い表皮のすぐ下にある血管が広がって、温かくて赤い新鮮な血液がからだの奥からどんどん集まってくるのが見えているからなんですよ。
血と思うとすごいですよね。
では、なぜヒトは不快な「炎症」を起こしてまで、血管を広げるように進化してきたのでしょう?
それには大きな理由があります。
「炎症」の起きる原因は、ケガやキズなどいろいろありますが、ヒトが生物として生き残って、環境に適応していくにはからだの進化(変化)を続けなければならなかったことと関係しています。その過程で常にヒトを脅(おびや)かし続けたのは、原虫や細菌、ウイルスなどの病原性微生物によるからだの中への「感染」でした。そういった微生物などの外敵や毒などの異物から自分の身を守る有効な方法としてヒトが進化させてきたのが「免疫」です。
では、その具体的な方法をみてみましょう。
普段、私たちのからだの中で「免疫」として活躍するミクロの戦闘員(白血球と言います)や武器(抗体と言います)は血液の中をめぐってパトロールしています。そして、侵入者を見つけると急いでそこに駆け付けて攻撃します。このとき、通り道(血管)が狭くては渋滞を引き起こしてしまって目的地にすぐに行けません。そこで、外敵が侵入したときは「炎症」を起こして「血管を拡張」させ、免疫細胞を急行させることによって攻撃しやすくするのです。
難しくてお疲れかもしれませんがもう少しお付き合いください。ここからが「痛み」の話の本題です。
「炎症」による「血管の拡張」には、もう一つ大事な目的があります。
それは、侵入者との戦いの後、まさに戦場の跡の廃墟のごとく破壊された組織の残骸や死んだ細胞たちが残されます。必要なのは残骸のスムーズな撤去と傷ついた細胞や組織のすみやかな修復です。つまり、後片付けです。
その場をキレイにするためには、通り道(血管)が広く、修理の材料(酸素や栄養物質)がどんどん運ばれてくることが復興(回復)には好都合ですよね。
実際、からだに「痛み」を引き起こすのは、その部分に何らかの「炎症」がある場合と、そこに細胞や組織のゴミや老廃物など「痛み」を起こす物質(内因性発痛物質といいます)が溜まっていることが多いのです。
そして、「血管の拡張」を操作すると、その両方がキレイになるのです。
そんなときに、そこに「おきゅう」をするのです!
みなさん、もうわかりますね。
「おきゅう」をする➡「炎症」が起きる➡「血管が拡張」する➡血のめぐりが良くなる➡抵抗力が強くなる+「痛み」や筋肉の疲労の原因物質が洗い流される➡新鮮な酸素や栄養が運ばれてくる➡細胞や組織がリフレッシュする➡痛みがなくなり、身体が軽くなる➡身体が丈夫になる…という正のスパイラルです。
いかがですか?
「おきゅう」をしたくなってきましたか?
「おきゅう」の話はまだまだ続きますよ。
どうぞ次回もお楽しみに!